中国大運河
The Grand Canal

概要

中国大運河は、政治的統一と経済発展を長期にわたり支えてきた中国最大級の水利インフラであり、2014年に世界遺産(文化遺産)として登録されました(2016年には登録範囲の見直しも行われています)。単なる交通路にとどまらず、卓越した土木技術と1000年以上続いた統治・物流システムを今に伝える証として評価されています。現在も蘇州・揚州・杭州などの沿岸都市には、運河とともに発展した歴史的な町並みが残されています。

基本情報
中国
2014年:新規登録,2016年:範囲拡大
検定ではここを覚えよう
  • 保有国: 中国
  • 登録状況: 2014年:新規登録,2016年:範囲拡大
  • 区分: 文化遺産
  • 登録基準: (ⅰ)、(ⅲ)、(ⅳ)、(ⅵ)
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詳細情報
中国の8つの省を貫き、北は北京から南は浙江省に至る大運河。
紀元前5世紀前から建設が始まり、後7世紀の隋の 煬帝の時代には、広大な中国内陸部を結ぶ交通網となった。
その後も歴代王朝によって維持拡張され、国民への米や穀物の供給、軍事物資や軍隊の輸送に利用され続けた。
建設が最盛期に達した元代の13世紀には、総延長は2000㎞以上におよんだ。
この運河の構成には黄河と淮河を結ぶ 通済渠(つうせいきょ)や、黄河と天津を結ぶ 永済渠(えいせいきょ)がある。
産業革命前の世界最大の土木技術であり、中国で最も重要な黄河や長江を含む5つの河川流域をつなぐこの運河は、現在でも交通網として重要な役割を担っている。

もっと詳しく

隋の煬帝の時代に整備された運河区間のうち、通済渠は605年頃に開削されたとされ、洛陽付近で黄河の水を引き込み、東へ淮河筋へと導く区間にあたる。一方の永済渠は608年頃に完成したとされ、黄河流域から水を引いて北へ向かい、現在の天津方面(当時の涿郡)へと至る区間で、華北・東北方面への物資・軍隊輸送を主な目的として建設された。この2区間を含む隋代の運河整備によって、黄河・淮河・長江・銭塘江・海河という中国の主要河川水系を結ぶ水運ネットワークが短期間で形成されたとされる。

現在「京杭大運河」と呼ばれる中心区間は、北京(通州)を起点に天津、河北省の滄州、山東省の徳州・済寧、江蘇省の徐州・淮安・揚州・鎮江・無錫・蘇州を経て、浙江省の杭州に至るルートで、直線距離としては約1,800kmとされる。これは元代最盛期に諸支線を含めて2,000km超に達したとされる総延長(既出の本文参照)とは区別される、現行の幹線区間のおおよその数値である点に注意したい。

世界遺産としての価値は、登録基準(i)(iii)(iv)(vi)に基づいて説明されている。基準(i)は、悠久の歴史と広大な規模を持ち、時代ごとに改修・適応を重ねてきた人類史上有数の水利土木の傑作である点。基準(iii)は、穀物・塩・鉄などの輸送と貯蔵を担った「漕運(そううん)」と呼ばれる国家的物流・徴税制度が、歴代王朝を通じて継承・発展してきた独自の文化的伝統である点。基準(iv)は、産業革命以前における水利工学の到達点として、多様で困難な自然条件に適応した構造物群を含む技術的な集大成である点。基準(vi)は、7世紀以降の歴代王朝を通じて中国の政治的統一と経済的一体化を支え続け、運河沿いに暮らす人々の生活文化や思想の交流を今に伝える生きた遺産である点が、それぞれ評価の柱とされている。

世界遺産検定などの学習では、大運河が「南北を結ぶ人工水路」として、東西に長い防衛線である万里の長城としばしば対比される中国の代表的な土木遺産として紹介される。登録年(2014年)、登録区分(文化遺産)、登録基準の4区分がセットで問われやすいポイントである。

よくある質問

Q. 中国大運河はどこからどこまで続いているの?
A. 現在「京杭大運河」と呼ばれる中心区間は、北京(通州)を起点に天津・河北省・山東省・江蘇省を経て浙江省の杭州に至り、直線距離で約1,800kmに及ぶとされる。歴史的には元代最盛期に諸支線を含めて総延長2,000kmを超えたとされる。

Q. 通済渠と永済渠の違いは何ですか?
A. どちらも7世紀初め、隋の煬帝の時代に整備された運河区間。通済渠は洛陽付近で黄河の水を引き込み東へ淮河筋に至る区間で605年頃に開削され、永済渠は黄河流域の水を引いて北へ向かい現在の天津方面に至る区間で608年頃に完成し、主に華北・東北方面への物資・軍隊輸送を目的とした。

Q. 中国大運河はいつ、なぜ世界遺産に登録されたのですか?
A. 2014年に登録基準(i)(iii)(iv)(vi)に基づき世界遺産(文化遺産)として登録された。優れた水利土木技術(基準i・iv)、歴代王朝を支えた漕運制度という独自の統治・物流の文化的伝統(基準iii)、中国の政治的統一と生活文化の交流を象徴する歴史的意義(基準vi)が評価されている。

Q. 大運河沿いで観光できる有名な街はどこですか?
A. 蘇州の平江路歴史地区や山塘街、揚州の旧市街、杭州の拱宸橋周辺など、運河とともに発展した明清時代以来の水郷の町並みが今も残り、観光地として親しまれている。

旅行情報

大運河沿いの代表的な見どころとして、蘇州の平江路歴史地区や山塘街(白壁瓦屋根の町並みが運河沿いに続き、遊覧船での運河クルーズも行われている)、揚州の旧市街、杭州の拱宸橋周辺(運河をテーマにした博物館や再現された古い街並みがある)などが知られる。無錫の清名橋歴史地区も、運河沿いの伝統的な町並みが残る観光エリアとして知られる。いずれも現地の観光局や旅行会社の情報で最新のクルーズ運航状況・見学可否を確認したうえで訪れることが望ましい。
写真
中国大運河
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