古代エリコ/テル・エッ・スルタン
Ancient Jericho/Tell es-Sultan

概要

古代エリコ/テル・エッ・スルタンは、1万年以上前にさかのぼる定住の痕跡が確認されている、世界でも有数の古さを誇る集落遺跡です。幾重にも積み重なった文化層からなる「テル(遺丘)」として知られ、初期の人類が定住生活へと移行していく過程を伝える貴重な考古学的記録として、2023年に世界遺産に登録されました。

基本情報
パレスチナ
2023年:新規登録
検定ではここを覚えよう
  • 保有国: パレスチナ
  • 登録状況: 2023年:新規登録
  • 区分: 文化遺産
  • 登録基準: (ⅲ)、(ⅳ)
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詳細情報
世界最古級の城壁都市の一つとされる遺跡である。
1万年以上前からの定住の痕跡が確認されている。
新石器時代のなど初期の大規模建造物が残る。
複数の文化層が積み重なった遺丘(テル)である。

もっと詳しく

テル・エッ・スルタンは、複数の時代にわたる居住の痕跡が積み重なって形成された「テル(遺丘)」の典型例として知られています。中でも重要なのが、先土器新石器時代A期(PPNA)と呼ばれる時期、おおよそ紀元前8000年頃に築かれたとされる石造りの塔です。高さ約8.5メートルにおよぶこの塔は、現存する人類最古級の大規模な石造建造物の一つに数えられ、当時すでに高度な建築技術と大規模な労働動員が可能な社会組織が存在していたことを示す証拠とされています。

この遺跡の学術的な重要性が広く認識される契機となったのが、1950年代にイギリス考古学学校の考古学者キャスリーン・ケニヨンが行った発掘調査です。ケニヨンは、精緻な地層観察の手法を用いて、この塔と周囲の巨大な石壁が、従来考えられていたような青銅器時代のものではなく、より古い新石器時代に属することを明らかにしました。この成果により、テル・エッ・スルタンは、農耕や定住生活への移行期における初期の「原都市」の姿を伝える遺跡として、世界の考古学史における重要な位置を占めることになりました。

遺丘には新石器時代の層の上に、さらに新しい時代の居住層も積み重なっており、後の青銅器時代の集落の痕跡も確認されています。旧約聖書『ヨシュア記』に記された「エリコの城壁」の逸話はこうした後代の言い伝えに関わるものとされていますが、ケニヨンらの発掘で明らかになった新石器時代の塔や壁は、それよりもはるかに古い時代の独立した遺構です。2023年の登録では、人類最古級の定住集落の一つとしての顕著な普遍的価値(登録基準iii)、そして初期の都市化・農耕社会の形成過程を伝える建造物群としての価値(登録基準iv)が評価されました。

よくある質問

Q. テル・エッ・スルタンとはどのような遺跡ですか。
A. 1万年以上前にさかのぼる定住の痕跡が確認されている、複数の時代の文化層が積み重なった遺丘(テル)遺跡です。

Q. 新石器時代の塔とはどのようなものですか。
A. 紀元前8000年頃に築かれたとされる高さ約8.5メートルの石造りの塔で、現存する人類最古級の大規模石造建造物の一つとされています。

Q. 誰がこの遺跡を発掘したのですか。
A. 1950年代にイギリス考古学学校のキャスリーン・ケニヨンが発掘調査を行い、塔や壁が新石器時代に属することを明らかにしました。

Q. 世界遺産に登録されたのはいつですか。
A. 2023年にユネスコの世界遺産リストに登録されました。

写真
古代エリコ/テル・エッ・スルタン
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