グリーンランドのグヤダー:氷冠縁辺部におけるノース人とイヌイットの農業景観
Kujataa Greenland: Norse and Inuit Farming at the Edge of the Ice Cap

概要

グリーンランド南部、クヤレック自治体に広がるクヤダー(クヤータ)は、10~15世紀に定住したノース人(ヴァイキング系)と、18世紀末以降に農業を営んできたイヌイットという、時代の異なる2つの民族がそれぞれ築いた農業・牧畜の生活景観を伝える世界遺産である。ブラッタリードやガーザルなど5つの構成資産からなり、北極圏における農業伝播の痕跡として2017年に登録基準(v)で登録された。

基本情報
デンマーク
2017年:新規登録
検定ではここを覚えよう
  • 保有国: デンマーク
  • 登録状況: 2017年:新規登録
  • 区分: 文化遺産
  • 登録基準: (ⅴ)
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詳細情報
半猟半農の ノース人イヌイットの2民族が作り上げた文化的景観
文化の違いにもかかわらず、農業、放牧、海洋哺乳類の狩猟に基づく1つ文化的景観を作り出した。
北極圏への農業の最初の導入と、ヨーロッパを超えた北欧人の入植地の拡大を表しています。

もっと詳しく

グリーンランド南部、クヤレック自治体に位置する「クヤダー」(現地語でクヤータ)は、10世紀から15世紀にかけて定住したノース人(北欧起源のヴァイキング系入植者)と、18世紀末以降に農業を営んできたイヌイットという、時代の異なる2つの民族がそれぞれ築き上げた農業・牧畜の文化的景観である。2017年、第41回世界遺産委員会において、登録基準(v)のもと世界遺産に登録された。

ノース人による入植は10世紀に始まり、13世紀には200~300の農場と司教座を擁するまでに発展したとされる。厳しい北極圏の気候のもと、穀物栽培よりも家畜の放牧と海洋哺乳類の狩猟を組み合わせた独自の生業形態が営まれた。構成資産のひとつ「カシアルスク」には、アイスランド方面から移住した入植者エイリークが築いた邸宅「ブラッタリード」の遺構が残り、「イガリク」には司教座が置かれた「ガーザル」の遺構が、「シサルルットク」には40を超える建物跡を持つ大規模なノース人の邸宅遺構が確認されている。

構成資産「カコルトゥクローク」には、グリーンランドで最も保存状態の良いノース人の遺構とされるフヴァルセイ教会が残る。この教会は、ノース人によるヨーロッパ側との接触記録として現存する最後の記録(1408年の婚礼)が残る場所としても知られる。また「タシクルーリク」には、現在のイヌイットの牧羊農場を結ぶグリーンランド最長の田舎道が通っており、ノース人とイヌイットそれぞれの土地利用の痕跡が重層的に残されている。

ノース人の入植地は15世紀までに姿を消したが、その後の18世紀末、あるイヌイットの女性とノルウェー人の夫がイガリクに農場を開いたことをきっかけに、この地での農業は今日まで途切れることなく続けられている。登録基準(v)は、文化や時代を異にする2つの民族が、同じ北極圏の環境条件のもとで、それぞれ独自の農業・牧畜の生活形態を築き上げた点を、人類の伝統的な土地利用の顕著な事例として評価するものである。

クヤダーの文化的景観は、北極圏における農業の最初期の導入と、ヨーロッパを越えて広がった北欧系入植者の展開を示す物証であると同時に、現在も続くイヌイットの牧羊業を通じて、地域社会の暮らしと結びついた生きた遺産でもある。異なる文化・時代を背景に持つ人々が、同じ土地に刻んできた営みの積み重ねを伝える点に、この遺産の価値がある。

よくある質問

Q. クヤダーとはどのような場所ですか?
A. グリーンランド南部クヤレック自治体に位置し、10~15世紀のノース人と18世紀末以降のイヌイットという異なる時代の2つの民族が築いた農業・牧畜の文化的景観で、2017年に世界遺産に登録された。

Q. ノース人とは誰のことですか?
A. 10世紀にアイスランド方面からグリーンランドへ移住した北欧起源の入植者(ヴァイキング系)を指し、13世紀には200~300の農場と司教座を擁するまでに発展した。

Q. フヴァルセイ教会にはどのような記録が残っていますか?
A. グリーンランドで最も保存状態の良いノース人の遺構とされ、1408年に行われた婚礼が、ノース人とヨーロッパ側との接触について現存する最後の記録として知られている。

Q. 現在もこの地で農業は続いていますか?
A. はい。18世紀末にイヌイットの女性とノルウェー人の夫がイガリクで農場を開いて以来、農業・牧羊は現在まで途切れることなく続けられている。

旅行情報

南グリーンランドへの玄関口は空路が発着するナルサースワクで、ここを拠点にイガリクやカシアルスクへは船で移動する。カシアルスクはイティレック経由の船便でイガリクと結ばれ、対岸のナルサースワクからも船でアクセスできる。
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グリーンランドのグヤダー:氷冠縁辺部におけるノース人とイヌイットの農業景観
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