フロー・カントリー
The Flow Country

概要

フロー・カントリーは、イギリス・スコットランド北部のケイスネスおよびサザーランド地方に広がる広大な泥炭地(ブランケットボグ)で、2024年に自然遺産として世界遺産に登録されました。泥炭地としては世界で初めての世界遺産登録とされ、基準(ix)のみで評価されています。長い年月をかけて堆積してきた泥炭層は膨大な量の炭素を蓄えており、希少な渡り鳥や昆虫が生息する湿地生態系としての価値に加え、気候変動対策の観点からも近年大きな注目を集めています。

基本情報
イギリス
2024年:新規登録
検定ではここを覚えよう
  • 保有国: イギリス
  • 登録状況: 2024年:新規登録
  • 区分: 自然遺産
  • 登録基準: (ⅸ)
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詳細情報
世界最大級の泥炭湿地(ピートランド)である。
大量の二酸化炭素を地中に蓄積する役割を担う。
希少な渡り鳥や昆虫が生息する湿地生態系を有する。
気候変動対策の観点からも重要性が注目されている。

もっと詳しく

ブランケットボグとは、なだらかな丘陵地形を毛布(ブランケット)のように覆う形で発達する泥炭湿原のことで、フロー・カントリーはヨーロッパ最大級の広がりを持つブランケットボグとされています。この泥炭層は約9,000年という長い年月をかけて形成されてきたとされ、その中には英国全体の森林が蓄える炭素量の2倍以上とも言われる、推定約4億トンの炭素が閉じ込められているとされます。健全な泥炭湿原は大気中の二酸化炭素を吸収し続ける一方、湿原が損傷・乾燥すると蓄えられた炭素が再び放出されてしまうため、その保全は気候変動対策としても重要視されています。

この地域には20世紀後半、意外な歴史もあります。1970年代から80年代にかけて、英国政府による林業への税制優遇措置を背景に、フロー・カントリーの泥炭地の広範囲がシトカトウヒなどの商業植林地に転換されました。これは主に節税目的の投資として行われたとされ、湿原生態系や鳥類への悪影響を懸念する環境保護団体(王立鳥類保護協会=RSPBなど)の強い反対運動が起こりました。1988年に当時の英財務大臣が林業への税制優遇を廃止したことを機に開発は収束し、その後は広範囲が特別科学的関心地域(SSSI)として保護され、泥炭湿原の再生(植林地の伐採・水位回復など)が進められてきたとされます。

登録基準(ix)は、陸上・淡水・沿岸・海洋の生態系や動植物群集の進化・発展に関わる重要な進行中の生態学的・生物学的プロセスを対象とする基準です。フロー・カントリーの場合、泥炭が今なお形成され続けているという「進行中のプロセスそのもの」が評価の核心とされています。

よくある質問

Q. フロー・カントリーとはどのような場所ですか。
A. スコットランド北部のケイスネス・サザーランド地方に広がる、ヨーロッパ最大級とされるブランケットボグ(泥炭湿原)です。

Q. なぜ「泥炭地として世界初」の世界遺産なのですか。
A. 2024年の登録まで、泥炭地そのものを主たる価値として世界遺産に登録された例がなかったためとされています。

Q. 気候変動とどのように関係していますか。
A. 泥炭層には推定約4億トンの炭素が蓄えられているとされ、健全な泥炭湿原の保全が炭素の大気放出を防ぐ意味を持つためです。

Q. 訪問することはできますか。
A. フォーシナード・フロウズのビジターセンターなどを拠点に見学が可能とされ、遊歩道や展望塔が整備されています。

旅行情報

訪問拠点として、王立鳥類保護協会(RSPB)が運営するフォーシナード・フロウズ・ビジターセンターが知られています。旧鉄道駅舎を利用した施設で、夏季(4~10月)は週7日9時~17時、冬季(11~3月)は月~金の10時~14時に開館しているとされます(時期により変更の可能性があるため事前確認が推奨されます)。センターは鉄道駅のプラットフォームに直結してアクセスでき、周辺には全長約1.6kmの「ダブ・ロッハン・トレイル」という木道や展望塔が整備され、比較的訪れやすい湿原景観として紹介されています。
写真
フロー・カントリー
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