ラヴノのヴィエトレニツァ洞窟
Vjetrenica Cave, Ravno

概要

ヴィエトレニツァ洞窟は、ボスニア・ヘルツェゴビナ南部、ラヴノ近郊のザヴァラ村にある大規模な鍾乳洞で、2024年に自然遺産として世界遺産に登録されました。登録基準は生物多様性の保全に関する基準(x)のみで、世界でも有数の豊かさを持つとされる洞窟性生物相(トログロビオント)の存在が評価の中心です。洞窟内にはかつての人類の痕跡も知られていますが、世界遺産としての中核的価値は、地下に息づく希少な生態系そのものにあります。

基本情報
ボスニア・ヘルツェゴビナ
2024年:新規登録
検定ではここを覚えよう
  • 保有国: ボスニア・ヘルツェゴビナ
  • 登録状況: 2024年:新規登録
  • 区分: 自然遺産
  • 登録基準: (ⅹ)
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詳細情報
先史時代の壁画や遺物が発見された石灰岩洞窟である。
旧石器時代からの人類居住の痕跡が確認されている。
複雑に入り組んだ鍾乳洞の構造を持つ。
バルカン半島における先史文化を伝える資料とされる。

もっと詳しく

ヴィエトレニツァ洞窟は、ディナル・アルプス山系のカルスト地形に形成された鍾乳洞で、ボスニア・ヘルツェゴビナ国内でも有数の規模を持つ洞窟とされています。「風の洞窟」を意味する名前が示すとおり、洞内外の気圧差によって強い風が吹き出す独特の現象でも知られています。

この洞窟の学術的な最大の特徴は、地下環境だけに適応して生きる「トログロビオント(絶対的洞窟性生物)」の種数の豊富さです。研究によれば、水生48種・陸生45種、合計93種のトログロビオント分類群が確認されており、これは世界でも2番目に豊かな地下生物相の記録の一つとされます。洞窟全体では200種を超える動物相が知られ、そのうち約40種はこの洞窟で世界で初めて記載された種とされています。

特に注目される生物としては、世界で唯一の地下生活をする管棲多毛類(チューブワーム)とされるMarifugia cavatica、地下水にのみ生息する淡水ヒドロ虫として唯一の存在とされるVelkovrhia enigmatica、そして端脚類ニファルグス属(Niphargus)の少なくとも9種が挙げられます。単一属としてはこれほど多くの種が一つの洞窟系に生息する例は世界的にも珍しいとされています。

一方でヴィエトレニツァ洞窟は、先史時代の人類が利用した痕跡が報告されていることでも知られ、旧石器時代の居住の証拠に触れられることがあります。しかし、UNESCOによる正式な登録基準は生物多様性保全に関する基準(x)のみであり、考古学的な価値を評価する文化的基準は適用されていません。つまりこの遺跡の世界遺産としての中心的価値は、地下生物相の保全にあるという点に留意が必要です。

よくある質問

Q. ヴィエトレニツァ洞窟はどこにありますか。
A. ボスニア・ヘルツェゴビナ南部、ラヴノ近郊のザヴァラ村にあります。クロアチアのドゥブロヴニクにも比較的近い場所です。

Q. なぜ世界遺産に登録されたのですか。
A. 登録基準(x)により、世界でも有数とされる豊かな洞窟性生物相(トログロビオント)の保全上の価値が評価されました。

Q. 洞窟にはどのような生き物がいますか。
A. 世界で唯一とされる地下生活のチューブワームや、端脚類ニファルグス属の複数種など、地下環境に特化した希少な生物が数多く生息しているとされます。

Q. 洞窟内で先史時代の遺物が見つかっているのは本当ですか。
A. 洞窟内で先史時代の人類利用の痕跡が報告されていますが、世界遺産としての正式な登録基準には含まれておらず、登録の核心はあくまで生物多様性です。

旅行情報

洞窟内へは、毎時出発するガイド付きツアーでのみ入場できるとされています。入場料はおよそ10ユーロ程度とされますが、料金や開館時間は季節によって変動する可能性があるため、訪問前に公式窓口等での確認が推奨されます。訪問の適期は気候が穏やかな春から夏にかけてとされています。
写真
ラヴノのヴィエトレニツァ洞窟
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