ローマ帝国の国境線-ドナウのリーメス(西部分)
Frontiers of the Roman Empire – The Danube Limes (Western Segment)

概要

ローマ帝国の国境線-ドナウのリーメス(西部分)は、ドイツ・バイエルン地方のバートゲッキングからオーストリアを経てスロバキアのイジャまで、ドナウ川に沿って約600kmにわたって展開する古代ローマの防衛システムである。ドイツ9地点・オーストリア22地点・スロバキア2地点、計33の構成資産からなり、軍団要塞や小規模な砦、物見塔、関連する集落跡などが良好な状態で残る。2021年、登録基準(ii)(iii)(iv)のもと、「ローマ帝国の国境線」の拡張資産として世界遺産に登録された。

基本情報
オーストリア,スロバキア,ドイツ
2020年:新規登録
検定ではここを覚えよう
  • 保有国: オーストリア,スロバキア,ドイツ
  • 登録状況: 2020年:新規登録
  • 区分: 文化遺産
  • 登録基準: (ⅱ)、(ⅲ)、(ⅳ)
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詳細情報
ローマ帝国時代のドナウ川沿いに建設された約600kmにわたる防砦システム
多くの要塞が保存状態が良い状態で残っている。
・エンゲルハルツツェルのローマの砦オーバーランナ
・マウテルンのローマ塔
・ウィーンのミヒャエル広場のローマ遺跡やホーアー・マルクトのローマ博物館

もっと詳しく

ローマ帝国の国境線-ドナウのリーメス(西部分)は、ドイツ・バイエルン地方のバートゲッキングを起点に、オーストリアを経てスロバキアのイジャに至る、ドナウ川沿い約600kmの区間に築かれた古代ローマの国境防衛システムである。ローマ属州ラエティア東部、ノリクム、パンノニア北部の境界線に沿って展開しており、ドイツ9地点、オーストリア22地点、スロバキア2地点、合わせて33の構成資産からなる。2021年、第44回世界遺産委員会において、登録基準(ii)(iii)(iv)のもと、既存の「ローマ帝国の国境線」(イギリスのハドリアヌスの長城・アントニヌスの長城、ドイツの上部ゲルマニア・レティア境界線)に連なる拡張資産として世界遺産に登録された。

リーメスは紀元1世紀から5世紀頃まで用いられた。当初は木材と土を用いた簡素な構造物であったが、皇帝ハドリアヌスの治世下で石造の兵舎や砦へと体系的に整備されていったことが分かっている。構成資産には、軍団要塞をはじめ、小規模な砦、物見塔、街道、関連する民間集落跡が含まれ、これらの遺構が地域の地形とどのように関係しながら配置されていたかを読み取れる点が特徴である。

代表的な構成資産として、エンゲルハルツツェルに残るローマ時代の小要塞「オーバーランナ」(4本の塔を持つクアドリブルグス)、マウテルンに残る古代の石積みがほぼ完全な形で保存されたローマ塔、ウィーンのミヒャエル広場に残る軍団基地ウィンドボナ時代の遺構、ホーアー・マルクトのローマ博物館などが挙げられる。これらは、いずれも属州の辺境における都市化や軍事技術の広がりを伝える具体的な物証として位置づけられている。

登録基準(ii)は、この地域の軍事施設群がローマの建設・管理技術を帝国の辺境にまで広め、集落形態や建築、土地利用に持続的な変化をもたらしたことを、(iii)は、帝国が北の国境を確立し最大版図に達した時期のローマ帝国の政策と、軍事工学・建築・宗教・統治といった文化がローマから辺境へ伝播した過程を示す稀有な証拠であることを、それぞれ評価している。(iv)は、地形や脅威に応じて発展したローマ軍事建築・防衛システムの顕著な見本であることを評価するものである。

この西部分は、より広域にわたる「ローマ帝国の国境線」という連続資産の一部として位置づけられており、ドナウ・リーメスの東側区間についても、クロアチア・セルビア・ルーマニア・ブルガリアの各国により、今後の拡大登録に向けた準備が進められている。

よくある質問

Q. ドナウのリーメス(西部分)とはどのような遺産ですか?
A. ドイツ・オーストリア・スロバキアの3カ国にまたがる約600km、33の構成資産からなる古代ローマの国境防衛システム。軍団要塞や砦、物見塔、集落跡が残り、2021年に登録基準(ii)(iii)(iv)のもと世界遺産に登録された。

Q. 「西部分」というのはなぜですか?
A. ドナウ・リーメスの東側区間(クロアチア・セルビア・ルーマニア・ブルガリア)は本資産には含まれておらず、将来の拡大登録に向けて各国で準備が進められているため、現時点では西部分のみが世界遺産となっている。

Q. どんな遺跡を見ることができますか?
A. エンゲルハルツツェルの小要塞オーバーランナ、マウテルンのローマ塔、ウィーンのミヒャエル広場に残るウィンドボナ時代の遺構、ホーアー・マルクトのローマ博物館などが代表的な構成資産として知られる。

Q. 他のローマ帝国の国境遺産とはどう関係していますか?
A. イギリスのハドリアヌスの長城やアントニヌスの長城、ドイツの上部ゲルマニア・レティア境界線とともに、『ローマ帝国の国境線』という一つの連続世界遺産を構成する拡張資産として2021年に登録された。

旅行情報

エンゲルハルツツェルのオーバーランナ跡やマウテルンのローマ塔は現地で外観・遺構を見学できる。ウィーンのミヒャエル広場では、広場に埋め込まれたガラス越しに発掘されたローマ時代の遺構を無料で見学でき、近くのホーアー・マルクトのローマ博物館(火~日曜開館)では発掘品を常設展示している。
写真
ローマ帝国の国境線-ドナウのリーメス(西部分)
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