リムフィヨルド西部の硬骨魚化石群
The Bony Fish Fossils of the Western Limfjord - Evolution and Climate Adaptation in the Earliest Eocene

概要

デンマーク北部、リムフィヨルド西部に浮かぶモース島のハンクリットとフュア島のクヌーズクリントの断崖には、約5600万年前から5400万年前にかけて堆積した珪藻土(モーラー)層が露出し、80種を超える保存状態の極めて良い硬骨魚化石が眠る。暁新世-始新世温暖化極大期(PETM)前後の急激な気候変動に生物がどう適応したかを伝える資産として、2026年、登録基準(viii)のもと世界遺産に登録された。

基本情報
デンマーク
2026年:新規登録
検定ではここを覚えよう
  • 保有国: デンマーク
  • 登録状況: 2026年:新規登録
  • 区分: 自然遺産
  • 登録基準: (ⅷ)
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詳細情報
海沿いの断崖に露出する地層には、数千万年前の地球環境の変化を記録した化石群が眠っている。
極めて保存状態の良い魚類化石は、ある地質時代における急激な気候変動への生物の適応過程を示している。
精密な地層の重なりは、当時の海洋環境を復元するための貴重な手がかりとして研究者から注目されてきた。

もっと詳しく

デンマーク北部、リムフィヨルド西部に位置するモース島のハンクリット、およびフュア島のクヌーズクリント(両者は約25km離れている)の海岸沿いの断崖には、「フュア層」と呼ばれる珪藻土(モーラー)を主体とする地層が露出している。この地層は約5600万年前から5400万年前(始新世最初期・イプレシアン)にかけて堆積したもので、厚さは最大で約60メートルに及ぶ。2026年、第48回世界遺産委員会(韓国・釜山)において、登録基準(viii)のもと世界遺産に登録された。

フュア層からは、80種を超える硬骨魚類をはじめ、ウミガメ、鳥類、昆虫、植物、微化石など、海生・陸生を問わない極めて多様で保存状態の良い化石が産出している。骨格がほぼ完全な形で残る魚類化石が多く見つかっている点が特徴で、白亜紀末の大量絶滅後、現代型の硬骨魚類(真骨魚類)がどのように多様化していったかを知るうえで、世界でも重要な地層のひとつとされている。

地層には200層前後にのぼる玄武岩質を中心とした火山灰層が挟まれており、約5400万年前に起きた噴火は、地球史上最大級の玄武岩質火砕噴火のひとつとされ、噴出物量は約1,200立方キロメートルに達したとみられている。この地層はまた、暁新世-始新世温暖化極大期(PETM)と、それに続く寒冷化の時期をまたいで堆積しており、気温が現在より4~8度ほど高かったとされる急激な温暖化に、当時の生物がどのように応答したかを記録する貴重な証拠となっている。

登録基準(viii)は、地球の歴史上の主要な段階や、生物の記録を含む重要な地学的過程を示す顕著な見本であることを評価するものである。この資産は、白亜紀末の大量絶滅後に多様化した硬骨魚類の初期進化と、急激な気候変動への生物の適応過程を、精度の高い連続的な地層記録として伝える点が評価されている。

化石産地そのものへの立ち入りは限られるが、モース島にある化石・モーラー博物館(フォシル・オ・モーラーミュージエット)では、魚類や鳥類、昆虫、植物など、フュア層から出土した化石を数多く展示しているほか、屋外の採石場跡地では実際に化石を探すこともできる。ハンクリットの断崖は展望地として整備されており、遊歩道から地層の重なりを間近に観察できる。

よくある質問

Q. リムフィヨルド西部の硬骨魚化石群とはどのような遺産ですか?
A. デンマーク北部、モース島のハンクリットとフュア島のクヌーズクリントの断崖に露出する約5600万~5400万年前の地層で、80種を超える保存状態の良い硬骨魚化石を含む。2026年に世界遺産へ登録された。

Q. なぜ魚類化石が重要視されているのですか?
A. 白亜紀末の大量絶滅後、現代型の硬骨魚類(真骨魚類)がどのように多様化していったかを示す、世界でも重要な化石記録が残されているため。

Q. PETM(暁新世-始新世温暖化極大期)とは何ですか?
A. 約5600万年前に起きた急激な地球温暖化の出来事で、気温が現在より4~8度ほど高かったとされる。この地層はPETM前後の気候変動に生物がどう適応したかを記録している。

Q. 実際に化石を見ることはできますか?
A. モース島の化石・モーラー博物館で多数の化石が展示されているほか、屋外の採石場跡地では自分で化石を探す体験もできる。ハンクリットの断崖は遊歩道から地層を観察できる。

旅行情報

モース島の化石・モーラー博物館では出土化石が多数展示され、屋外の採石場跡地で化石探しも体験できる。ハンクリットの断崖は遊歩道が整備された展望地として公開されている。
写真
リムフィヨルド西部の硬骨魚化石群
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