ヒルカニア森林群
Hyrcanian Forests

概要

ヒルカニア森林群は、カスピ海南岸に沿ってイランからアゼルバイジャンにかけて広がる温帯原生林である。数千万年前から続く古い植生が氷期を乗り越えて残存してきた点が評価され、2019年に世界遺産に登録された。

基本情報
イラン,アゼルバイジャン
2019年:新規登録
検定ではここを覚えよう
  • 保有国: イラン,アゼルバイジャン
  • 登録状況: 2019年:新規登録
  • 区分: 自然遺産
  • 登録基準: (ⅸ)
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詳細情報
イラン北部からアゼルバイジャンにかけてカスピ海南岸に広がる温帯原生林。
2,500万年から5,000万年前の新第三紀にまで起源をさかのぼる遺存植生で、氷期の影響をほとんど受けずに残存してきた。
ブナ(オリエンタルブナ)が森林蓄積量の3割超を占め、3,200種を超える維管束植物が確認されている。
2019年に登録された後、アゼルバイジャン領域の構成資産も加えられ、2か国にまたがる大規模な越境自然遺産となっている。
登録基準はix(生態系・生物群集の進行中の過程を示す顕著な例)。
【検定ここが出る】2か国にまたがる越境拡張登録である点が問われやすい。

もっと詳しく

この森林には、絶滅危惧種に指定されているペルシャヒョウ(コーカサスヒョウ)をはじめ、ヒグマ、オオヤマネコ、イノシシ、オオカミ、ジャッカル、ジャングルキャットなど約58種の哺乳類が確認されているとされる。鳥類も温帯広葉樹林を代表する種を中心に約180種が記録されており、猛禽類や渡り鳥の生息地としても利用されているという。
この森林が氷期を通じて消滅を免れた背景には、カスピ海とアルボルズ山脈・タレシュ山脈という地形の組み合わせがあるとされる。カスピ海が極端な寒気の直接的な影響を和らげる一方、山脈が海側からの湿った空気を陸側に閉じ込める「壁」として機能し、更新世の氷期に北半球の温帯林の多くが失われた中で、この地域は避難地(レフュージア)として存続できたと考えられている。
世界遺産の登録資産は、2019年の登録時点でイラン側のギーラーン州・マーザンダラーン州・ゴレスターン州にまたがる15の構成資産からなっていたが、その後アゼルバイジャン側のダンギャバンドとイスティスチャイ渓谷の2資産が追加され、現在は合計17の構成資産からなる越境資産となっている。アゼルバイジャン側の構成資産は、同国のヒルカン国立公園の境域内に位置している。

よくある質問

Q. ヒルカニア森林群にはどんな動物がいるのか?
A. 絶滅危惧種のペルシャヒョウ(コーカサスヒョウ)やヒグマ、オオヤマネコ、イノシシ、オオカミなど約58種の哺乳類、約180種の鳥類が記録されているとされる。

Q. なぜこの森林は氷期を生き延びられたのか?
A. カスピ海が寒気の影響を和らげ、アルボルズ山脈・タレシュ山脈が海からの湿った空気を閉じ込める働きをしたことで、他地域の同種の森林が消失する中、避難地として存続できたと考えられている。

Q. 構成資産はいくつあるのか?
A. 2019年登録時点でイラン側15資産だったが、その後アゼルバイジャン側の2資産(ダンギャバンド、イスティスチャイ渓谷)が追加され、現在は合計17の構成資産からなる越境資産となっている。

Q. 観光で訪れることはできるのか?
A. 国境をまたぐ保護林であり、一般的な観光地としての受け入れ体制についての確実な情報は確認できていない。訪問を検討する場合は現地の国立公園当局など公式情報源での事前確認が必要である。

写真
ヒルカニア森林群
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